作品目録
簡素な透明性に満ち、エネルギッシュで崇高な内容を持つ西澤の作品は、
まず第一に人間であることに感動する側に立って語り掛ける音楽を味わうという喜びを、
われわれに取り戻してくれる。
〜メキシコ・シナロワ新聞2001年10月27日
習作を除く、今までに作曲した作品の一覧です。
タイトルのリンクをクリックすると作品の詳細がご覧頂けます。
曲の冒頭のみ楽譜もTiff画像にて掲載しておりますのでダウンロードしてご覧下さい。
また、いくつかの作品は
「友の会」ページ
にてMP3を公開しておりますので、ぜひこの機会にご入会ください(入会は無料で、サイト上で行えます)。
1995年
第1楽章:Moderato con moto
第2楽章:Molto lento e grazioso
第3楽章:Presto con fuoco
初演:2002.10国立・原島峰子(Vn)西澤健一(Pno)
17歳。高校3年生のときに書いた作品。生真面目さと青い情熱が対比する第一楽章、
自分のその後を予見する和声に満ちた第二楽章、変拍子が特徴的な第三楽章。
ピアノを始めて2年目、和声を勉強し始めて1年目の普通科高校生が書いた作品として聴けば、
まがいなりにも良く出来ているとは思う。もちろん未熟なのだが、改めて見ると、
他の作曲家の「作品1」と同様に確かに自分の性格が全て現れている。
…一応、この作品を私は「作品1」としたが、当然いくつかの習作もある。
楽譜はもう捨ててしまった。中にはピアノを始めた直後(15歳)に書いた40分の
ト短調の交響曲などというものもあって、今でも主題も覚えていたりするのだが、
これはあまりに恥ずかしいので墓場まで持っていこうと思う。(2006/02)
[楽譜サンプル]
1996年
初演:2001.5ブリュッセル・西澤健一(Pno)
大学入学直前に書いた作品。このとき私は、とある非常に絵画的で詩的な写真
…それが、写真家の妻であるソニアという女性を写したものだったのだが…を見た
感動が強く残っていた。この作品のタイトルの成り立ちはそのようなものである。
数ヵ月後に、他にも写真のタイトルを借りて小品を2曲作曲し、ひとつの組曲としてまとめたのだが、
現在はこの作品だけを公開している。(ちなみに、その組曲のもう2曲は、12音による無窮動の音楽と
クラスターによる「月光」みたいなもの。)この年には他に、ソプラノと金管楽器、打楽器、
ピアノのための公表していない作品がある。(2006/02)
[楽譜サンプル]
1997年
委嘱:山科綾(Tub) 初演:2001.5ブリュッセル・橋本晋哉(Tub)
大学の同級生であった山科氏から依頼を受け作曲。
「日本っぽいもの」「十二音っぽいもの」が欲しいという注文内容に忠実に従ったわけだが、
この時期の作品からは、私が非常にオーソドックスな現代音楽の作法を習得しようとしてい
る意図が伺えるかと思う。この時期には他に、サクソフォンとピアノのための公表していない小品がある。(2006/02)
[楽譜サンプル]
委嘱:林美和(Mar) 初演:1997.8三鷹・委嘱者 森内剛(Pno)
大学の同級生であった林氏からリサイタル用として依頼を受け作曲。
私は彼女のキャラクターに合うような快活さを意図して、
結果このコラージュのような作品となったのだが、
これは自分の性格の散漫さを最も象徴した作品なのかも知れない。
タイトルの「ダンス」は、別に何というものではない。
06年に若干の要素を削除した。(2006/02)
[楽譜サンプル]
第1楽章:Molto Agitato
第2楽章:Andante lamentoso
初演:1998.12吹田・渡部真美(Vn)佐藤禎(Vc)堤聡子(Pno)
備考:第9回吹田音楽コンクール入選
最初は大学の作品提出のために単一楽章の作品として第一楽章を書き、
後にコンクールのために第二楽章を付け足した。
第二楽章は最後に第一楽章の再現を持っていたが、これは公表後に削除した。
理由もないのに再現をしてはならないと考え直したからである。
両方の楽章とも素材と精神を共有しており漸進的に進む変奏曲のようなもので、
雄弁であり、暴力的な音楽である。第9回吹田音楽コンクール作曲部門入選。(2006/02)
[楽譜サンプル]
1998年
初演:1998.8福井・高橋わかな(Hp)馬渕清香、板津あずみ(Vn)馬渕昌子(Va)丸山泰雄(Vc)
備考:第3回福井ハープ音楽賞コンクール作曲部門奨励賞受賞
出版:1999.1(株)全音楽譜出版社 ISBN4-11-899700-2
作品は連続して演奏される3つの部分からなっているが、そこでは二つの要素が互いに模倣、
展開を繰り返しながら一つに統合される様が描かれる。その様が主従関係でもなければ対等
でもないということで、当時傾倒していた天台の言葉を借りてタイトルにしたのだが、結局天台
と私は相容れない精神の持ち主であったことを良く理解した今となっては、この作品のタイトル
が個人的には非常に鬱陶しい。…ただ、やはり今の自分の音楽経歴を踏み出す一歩となった
作品であることはどうしても無視できない。第3回福井ハープ音楽賞作曲部門奨励賞。(2006/02)
[楽譜サンプル]
第1楽章:Allegro maestoso
第2楽章:Allegretto espressivo e tranquillo
第3楽章:Presto con brio
初演:2001.5ブリュッセル・西澤健一(Pno)
「まず先人の作品を真似なさい」とはラヴェルの言葉である。
そのラヴェルの言葉を読んでいた私の机の上には当のラヴェル本人による
「ソナチネ」の楽譜があった。この作品が作曲された経緯は、たったそれだけであった。
…98年当時、私は様々な理由によって大学を中退していて、
これまた様々な理由でコンクール経歴を重ねることに勤しんでいたのだが、
しかしこの作品はそういった事情とは全く無関係に、暇を見計らって僅かばかりの時間で書き殴られた。
誰の耳にも明らかな通りに「ソナチネ」の音型は再三にわたって利用されているが、
結局ラヴェルと私の趣味は全く違っていたので、「ソナチネ」の精神とは似ても似つかない
随分と暴力的な音楽になってしまった。つまり底辺にあるものは、
若気の至りとしか言えない有り余る情熱と、激しさと、誇大妄想。今になってこの作品を見返してみると
、当時コンクールに送りつけていた所謂現代音楽風の作品と、
違うのは鳴っている和音ばかりで全く中身に相違がない…どころか、
主題を限定したためにより一層それらが強調されていることに、我ながら愕然としてしまう。
(2005/09西澤健一ピアノ作品展プログラム)
[楽譜サンプル]
第1楽章:♪=92ca
第2楽章:Piano1♪=108 / Piano2♪=72
第3楽章:Con moto e flessibile
初演:1999.1小平・秦はるひ、村木ひろの(Pno)
備考:ピアノ・デュオ作品による第5回国際作曲コンクールB部門第一位、児玉賞受賞
ドナトーニを講師に迎えた1998年の第1回日伊現代音楽公開講座に、
実はさりげなく参加していた私だったのだが、参加者にはピアノ、ヴァイオリン、
マリンバもしくはヴィブラフォンのための独奏作品を書くという課題が与えられていた。
このうち私は最も苦手であると判断していたのでピアノ独奏を選んだはずが、
そもそも自分が選んだ素材が2台向きであったために、もう潔く2台用の作品にしたらどうだと言われ、
現在の形になった。第2、第3楽章は後にコンクールのために書き加えられた。
ところで、このとき私はやはりドナトーニに相当な影響を受けたらしい。
彼の「否定性」を私は、「努めて懐疑主義でありながらも感動する
精神を持ち合わせなければならない」と解釈した。バッハのコラールを写譜し続けた彼の修行時代は、
やはり音楽の本質の一端を背負っていると思われる。そのような意味であれば、
私は今後もドナトーニの影響の下にあるだろう。
ピアノデュオ作品による第5回国際作曲コンクールB(2台)部門第1位(2006/02)
[楽譜サンプル]
委嘱:石原信輔(Mar) 初演:1998.7東京・委嘱者
ドナトーニのレッスンで、受講生が書いたマリンバ作品を演奏していたのが
石原信輔氏であった。私が書いた2台ピアノの作品を聴いていた彼は、
どうやら私の作品を気に入ってくれたようで、彼とはそれ以来の付き合いとなる。
これは私がマリンバの作品を数多く書くようになったきっかけの作品である。
タイトルは、やはり私が見た写真のタイトルによっている。最
初はパフォーマンス的要素が作品中にあったが、のちに削除した。(2006/02)
[楽譜サンプル]
初演:1998.12立川・西澤健一(篠笛)、菊地砂織(Hp)
自分の音楽性、方向性に関する迷いの時期の真只中であった。
この作品をリストに残している意味は、あまりない。
ごく身内の演奏会のために自分用の篠笛の曲として作曲した。
(二度と演奏しないだろうに、唯一の音源の音が割れまくっているのが残念だ。)
6つの部分からなる変奏曲。この時期には、フルート、クラリネット、
ヴァイオリンとピアノのための作品、コントラバスとピアノのための作品、
三人の打楽器のための作品、ピアノ独奏のための作品などの公表していない作品と、
数多くの未完の断片がある。(2006/02)
[楽譜サンプル]