作品目録
簡素な透明性に満ち、エネルギッシュで崇高な内容を持つ西澤の作品は、
まず第一に人間であることに感動する側に立って語り掛ける音楽を味わうという喜びを、
われわれに取り戻してくれる。
〜メキシコ・シナロワ新聞2001年10月27日
習作を除く、今までに作曲した作品の一覧です。
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曲の冒頭のみ楽譜もTiff画像にて掲載しておりますのでダウンロードしてご覧下さい。
また、いくつかの作品は
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にてMP3を公開しておりますので、ぜひこの機会にご入会ください(入会は無料で、サイト上で行えます)。
2007年
第1楽章:Adagio ma non troppo - Valzer ; Allegro
第2楽章:Courante et Gavotte
第3楽章:Passacaglia ; Andante molto
第4楽章:Menuet
初演:2008.02東京・クライネスコンツェルトハウス弦楽四重奏団
(三戸素子,藤村正芳(Vn),二宮隆行(Va) 小澤洋介(Vc))
この続けて書かれた三曲の弦楽四重奏曲を私は一つの連作、またはひとつの作品として
考えている。モーツァルトやベートーヴェンの顰に倣ったということもあるし、せめて三曲もあれば自分が
抱いていた弦楽四重奏のためのアイデアが書き尽くせるだろうと予想したこともあるし、自分の音楽的
立場を誤解なく伝えるために必要な長さだったということもある。
第1番は三曲中もっとも安定した4楽章制で書かれているが、その分、音楽の内容は最も挑発的、野心的で
あり、全体的に諧謔的な色合いに染められている。第1楽章は4分の5拍子のアダージョにワルツで書かれた
フーガの主部を持つフランス風序曲。第2楽章はクーラントとガヴォットの二種類のバロック舞曲が主導権
を巡り衝突する。第3楽章はナポリ調のV度から始まり主和音に帰らない主題で書かれたニ短調のパッサカリア。
短い準V度調の導入で開始される第4楽章のメヌエットは、最後の瞬間まで真面目さと不真面目さの間を
右往左往する。一時期に熱中した「擬似バッハ」的な試みの成果は、自分にとっても全く意外な姿となって
この作品に結実している。(2007/07)
[楽譜サンプル]
第1部:Moderato assai
第2部:「5つの小品」"Fünf kleine Stücke"
1. Marsch I
2. Walzer I
3. Walzer II
4. Walzer III
5. Marsch II
第3部:Adagio molto
初演:2008.02東京・クライネスコンツェルトハウス弦楽四重奏団
(三戸素子,藤村正芳(Vn),二宮隆行(Va) 小澤洋介(Vc))
連作の第2作目。息の長い旋律と穏やかな和声に全体が支配されているこの作品の最も
大きな特色は、やはり中間楽章の代わりに配置された5曲からなる小品集である。それは、この第2番自体に
とっても、または連作全体にとっても音楽的な転換点になるという重要な役割を担っている。
第1番での試みはその最も穏便な使用例としてソナタ形式の第1楽章に終結され、第1番にも第3番にも
現れるワルツが、各楽器のソロおよびソリを伴い、この演奏形態の最もささやかな世界を表現し、努めて美しく
響く長大なアダージョ楽章(実は、それは主題と3つの変奏で書かれている)は、技術の粋を尽くした大規模な
変奏曲である第3番への出発点となっている。それでいてこの作品はひとつのテーマ…それは、ほとんど通俗的
とも言える旋律然とした旋律を敢えて使用することで創作の自由を得たいという自分の希望…で統一された、
独立した作品である。
[楽譜サンプル]
Thema Poco allegretto
Ver.1 Andantino
Ver.2 Larghetto
Ver.3 Allegro vivace
Ver.4 Allegro moderato
Ver.5 Molto adagio
Ver.6 Tempo di Valse
Ver.7 Tempo di Marcia
Ver.8 Adagietto sostenuto
Fuga I (Ver.9) Allegro con moto
Fuga II (Ver.10) Andante grazioso
Fuga III (Ver.11) Vivace con brio
Coda : Andante maestoso
初演:2008.02東京・クライネスコンツェルトハウス弦楽四重奏団
(三戸素子,藤村正芳(Vn),二宮隆行(Va) 小澤洋介(Vc))
連作の第三作目。安定した形式の中で挑発を試みる第1番に始まり、
素直な表現の中にある自由を享受する第2番を経て、連作の締めくくりに私が用意したのは、
自分の持つ技術を信頼し確信して初めて可能になる大規模な変奏曲とフーガである。…主題は20小節
あまりと非常に短いが、そこから840小節を超える11の変奏曲が発生している。そのうち最後の
3つは連続したフーガであり、これが全曲の半分を優に占めている。つまり、フーガに始まりワルツが
背骨のように配置されたこの連作は、壮大なフーガを終結部として閉じられるのである。
自分の和声や対位法、そして変奏の技術を全て結集したこの作品に、今のところ言えることが他にない。
ただただ、理想と混乱にこの作品は支配されているのみである。(2007/07)
[楽譜サンプル]
第1楽章:Andante grazioso
第2楽章:Allegro capricioso
第3楽章:Andante con moto
委嘱:celia adrian rodriguez (Acc) 初演:2007.04 スペイン・委嘱者
連作の弦楽四重奏を完成させるためのクールダウンと言ったら言葉が
悪いが、非常にリラックスした精神で書いたことに間違いは無い。幾分初期の作風に
戻っているし、日本的なコンサートを企画したいという委嘱者の意図に従ってもいる。
「想像上のわらべ歌を想像して、それに伴奏をつけたようなものだ」と説明したが、
それはあまり正しくない。納得はしてくれるだろうけど。ちなみにアコーディオンの
パートは一応バヤンを想定して書いているが、ピアノ・アコーディオンでも構わない。
(2007/03)
[楽譜サンプル]
第1楽章:Andantino moderato
第2楽章:Scherzo ; Vivace con brio - Trio ; Un poco andante
第3楽章:Andante molto e grazioso
第4楽章:Allegretto con spirito
献呈:西澤美歌
初演:2008.03さいたま デュオ・フレッシェ
(西澤健一&美歌(Pno))
2006年より連弾奏者として同居人共々活動を開始している都合上、自分達の
レパートリーとなるように用意した作品の第1弾。タイトルが示すとおり、ほとんど交響曲
と言っても良い作品となっている。ゆったりと、そして着々と時が刻まれるように進む第1楽章、
大規模で演奏効果の高いスケルツォである第2楽章、この作品のひとつのクライマックスを
形成するロマン派的な第3楽章に、ワルツ風の主題をもつ第4楽章からなっている。
ちなみに第1楽章だけは「3つの弦楽四重奏曲」よりも前に作曲されている。(2007/12)
[楽譜サンプル]
第1楽章:Langsam
第2楽章:Nicht zu rasch
第3楽章:Arie : Ziemlich langsam
第4楽章:Sehr lebhaft
委嘱:仙石恵子、山岸俊哉
初演:2007.11茅ヶ崎・神田寛明(Fl) 広田智之(Ob) 篠崎和子(Hp)
今日の「茅ヶ崎ラスカチャリティーコンサート」のために、また、今回の
「トリオ・ルミエール」メンバーの初共演をお祝いして作曲致しました。ハープのアルベ
ジオが音楽を紡ぎだす、ゆったりとしたソナタ形式の第1楽章、フルートが主役の協奏曲
的な第2楽章、間断なく移ろい行く和声の上をオーボエが主役となって歌う第3楽章に、
華々しくも諧謔的な表情をあわせ持つ第4楽章の、4つの楽章からこのソナタは構成され
ており、全編を通して歌曲的な世界観に貫かれ、ルミエールの名に相応しく、温かな光、
ひっそりとした光、優しい光、輝かしい光に溢れた作品になったのではないかと自負して
おります。(2007/10)
[楽譜サンプル]
第1楽章:「舟歌」Nicht schnell
第2楽章:「レントラー」 Etwas schnell - Rasch
第3楽章:「ポロネーズ」Sehr lebhaft
献呈:西澤美歌
初演:2008.03さいたま デュオ・フレッシェ
(西澤健一&美歌(Pno))
2006年より連弾ピアニストとして同居人共々活動を開始している都合上、
自分達のレパートリーとなるように用意した作品の第2弾。様々なアルペジョに乗せて
長閑に歌われる「舟歌」、少し調子の外れた「レントラー」に、華やかな「ポロネーズ」
と、前作と打って変わり親しみやすく小規模な性格的小品集となっている。
(2007/12)
[楽譜サンプル]
2008年
(導入部) Allegro moderato ma tranquillo
(ワルツ) Tempo di Valse mais un peu lentment
(アリア) Andante sostenuto
(終結部) Allegro molto
委嘱:スーパーチェロアンサンブルトウキョウ(丸山泰雄・渡邊辰紀・山本裕康・林 裕・上森祥平・石川祐支・
灘尾 彩・三森未来子・荒 庸子・水谷川優子・石 豊久・海野幹雄)
初演:2008.02仙台・委嘱者
(前略)左右に配置された2つのチェロ6重奏が、常に掛け合い、小さな
素材を徐々に拡げながらついには大きな流れに合流する「導入部」。落ち着いた
後に協奏的な楽想を挟んで突入する、牧歌的とも言える表情の「ワルツ」。短
いモノローグの後、2人のソリストによってゆったりと歌われる「アリア」。そ
して、力強く堂々と曲を締めくくる「終結部」の、切れ目なく演奏される4つ
の部分から構成されています。
右と左に留まらず、緩と急、室内楽的な楽想と管弦楽的な楽想…。この作品には
様々な「二者」が登場し、時には対比され、そして協力していきます。それもこ
れも、彼ら、スーパーチェロアンサンブルトウキョウの、「クァルテットよりナ
イーヴに、オーケストラよりダイナミックに!!」という旗印を象徴するような
作品を書きたいと願ったからに他なりません。 (2008/2スーパーチェロアンサンブルトウキョウ公演に寄せて)
[楽譜サンプル]